「経営戦略考−日経記事から毎日学ぶ経営戦略の原理原則」
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2004年1月20日 通巻1114号

新薬承認申請書の作成代行 > いくらなら買わないか

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■■   新薬承認申請書の作成代行
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━━━━━━━━━ 情報源:日本経済新聞2004.01.20【12面】━

◆昨年読んだ本の中で、最も感銘を受けたのが、中尾英司氏の書い
た「あきらめの壁をぶち破った人々」(日本経済新聞社)だ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532311004/moriofficecom-22

◆サラリーマンである主人公が、組織の中の「あきらめの壁」を破
り、一つのプロジェクトを成功に導くという話だ。これは、ある製
薬会社での実話に基づく。

◆この本を読んで、製薬会社における新薬承認申請業務は実に大変
なものだということを知った。主人公が取り組むプロジェクトも、
この業務に深く関わっている。

◆しかし世の中、よくしたもので、大変な業務なら、それを代わり
にやってくれるというサービスが登場する。今朝の日経新聞には、
ベルシステム24が新薬承認申請書の作成代行を始めるという記事
が掲載されている。

◆ベルシステム24はテレマーケティングの会社だが、米国の企業
から新薬承認資料作成ソフトの使用権とノウハウの供与を受けるの
だという。

◆ここでなるほどと気づいたのは、厄介な業務をこなすために代行
サービスを利用するニーズがあるが、その手前に、便利なソフトを
開発するという段階があるということだ。

◆まずは業務を社内で行なう。どうにかしてこの業務を効率化でき
ないか。すると誰かが便利なソフトを開発する。そして行き着くの
が、代行サービス、というわけだ。

◆ちなみに、この新薬承認資料作成ソフトはかなり高価だという。
新薬承認申請の件数があまり多くない中小メーカーなら、代行サー
ビスは非常にありがたい存在となる。

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■■   いくらなら買わないか
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●これに似たようなパターンは、例えば経理業務でもみられる。便
利な会計ソフトが開発されたおかげで、経理初心者でもかなりのこ
とができるようになった。

●さらに現在は、経理業務そのものを代行会社にアウトソーシング
するケースも多くなっている。場合によっては、日々の業務は会計
ソフトを使い、決算だけを代行会社に依頼することもできる。

●しかしよく考えてみると、代行や外注に依存せざるを得なかった
業務が、便利なソフトの開発により、社内で出来るようになったと
いうケースもある。

●例えば、今やすっかりみられなくなった和文タイプ。ワープロの
登場により、書類作成を外注する必要はなくなった。同様に、年賀
状ソフトの登場は、筆耕と呼ばれる宛名書きビジネスの市場を縮小
させた。

●そう考えると、厄介な業務を旧態依然とした方法で「自前でやる」
という選択肢は論外として、ソフト(あるいは設備)を社内に導入
するか、アウトソーシングするかは、ケースバイケースだといこと
になる。

●どちらを選ぶかは、当然、経済合理性に基づくことになる。どち
らが「安上がり」か、あるいは経済合理的な範囲で「便利」か、の
判断だ。

●価格面だけで言えば、顧客がどちらに流れるかの勝敗を決めるの
は、ソフトの価格と代行サービスの料金、そしてそのサービスを利
用する頻度だ。

●では、売り切りでソフトを販売してしまうのと、代行サービスを
提供するのとでは、長期的にみて、どちらが儲かるだろうか。継続
的に需要が発生するという点からみて、後者に軍配が上がりそうだ。

●だから、もし顧客を代行サービスの利用へと促したければ、ソフ
トの価格を高くすることだ。顧客は、長期間で償却しなければなら
ない投資は負担したがらない。

●新薬承認資料作成ソフトがかなり高価だから、代行サービスはあ
りがたいと先述した。しかし、高価であることの理由の一つとして、
代行サービスの利用を促したいという思惑を感じなくもない。

●ちなみに、代行サービスの販売を促したければ、はじめからソフ
トを販売しなければ良いという理屈もあるが、顧客に選択肢を提供
するという点では、両方手がけておいた方がよいと考えられる。

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■ 今日の教訓 ■
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あなたの企業は、自社のサービスや商品の価格を、いくらなら買っ
てくれるかという観点だけで設定してはいないだろうか。いくらな
ら買わないかという価格設定は、本命となる代替商品の購買を促す
効果がある。

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