「農のタニマチ」システム > 出資者の取るべきスタンスを規定する
あなたの企業には、「タニマチ」として関わってくれる人が、どれ
だけいるだろうか。利害を含めた経済合理性を超えて応援してくれ
る人は、ビジネスをスムーズに進める上でも、大きな財産のはずだ。
そのような「タニマチ」を集める方法を、考えてみよう。
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■■ 「農のタニマチ」システム
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━━━━ 情報源:日本経済新聞(北海道) 2009.10.22【1面】━
◆会社は誰のものか。よくある議論だ。法律や経済原理の点からみ
て、「所有」しているのは誰かと言えば、それは株主にほかならな
い。だから、会社は株主のものだというのが、正解かも知れない。
◆しかし、その正解で誰もが満足しているのなら、「会社は誰のも
のか」という議論は起こるわけがない。実際に会社を成立させてい
るのは、従業員や顧客だ。
◆だから、会社は彼らの「もの」とまでは言えなくとも、彼らの
「ために」存在するとは言えるだろう。だとすれば、株主というの
は、どのような存在なのだろうか。
◆私が常々思っているのは、「タニマチ」としての株主だ。相撲の
世界などでおなじみの「タニマチ」は、力士などの対象者を、見返
りを期待せずに応援するような存在だ。
◆だから、株主は「所有者」として権力を振るうのではなく、会社
を「応援」するスタンスでいるのがよいと思う。時には会社に厳し
く接することも必要だろうが、お金は出すが、あまり口出しはしな
い、というイメージだ。
◆22日付けの日本経済新聞・北海道版に、「『農のタニマチ』シス
テム」なる仕組みを紹介する記事が掲載されている。「首都圏から
呼び込んだ資金で、北海道農業の活力を高める試み」のことだそう
だ。
◆タニマチという言葉は、先述のとおり「大相撲で資産家がひいき
力士を後援する仕組み」から来ており、それを「道内に当てはめ、
農地買い取りなどの原資とする」。
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■■ 出資者の取るべきスタンスを規定する
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●「株主」のスタンスは「タニマチ」だと述べたが、この「農のタ
ニマチ」は、通常の企業の株主と同様、農家に出資をする。「大規
模化したいが資金がない」といった問題の解決に役立てる。
●具体的には、「近く母体組織を立ち上げ、1口100万円で出資し
てくれる投資家を49人集める」という。随分と半端な人数に思える
が、記事によれば、「49人なら私募扱いとなり、50人以上に公募に
比べ手続きが簡素になる」とのことだ。
●興味深いのは、単純に「出資者を求める」とするのではなく、
「タニマチ」という表現を使うことで、出資者の取るべきスタンス
を規定できていることだ。
●出資案件は、とかく出資者の思惑や利害の錯綜が絡みがちだ。ト
ラブルに発展するケースもある。その点、出資者=「タニマチ」と
いうコンセプトを示すことで、スムーズに事が運ぶように思う。
●記事によれば、実際には、出資した権利の転売の仕組みをどうす
るか、どこまで出資者対象を広げるか、投資家募集等にかかる費用
はどうするのか、といった詳細の詰めはこれからだそうだ。
●いずれにせよ、「タニマチ」という言葉は、「『北海道の農家を
育てている』という出資者の自尊心もくすぐる」し、「天候に左右
される農家への投資は仮に資産が減っても納得されやすい」と見込
んでの取り組みだ。経済合理性を超越し、エモーショナルな部分に
までアプローチできている。
●経済合理性の観点で見れば、会社は「株主」の所有物かも知れな
いが、「所有(出資)」というスタイルで示しているのは、権利の
主張ではなく、応援する意思なのだ。
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